2016年10月31日月曜日

機能訓練指導員としてのリスク管理「アンダーソン・土肥の基準(変法)」

機能訓練指導員として、通所介護に務めている理学療法士ですが、一概に機能訓練指導員と言っても「資格」ではなく「職種」であるため、なかなか共通した意識や見解は難しいですよね(汗)


機能訓練指導員という職種で働くためには、国家資格である

「看護師」
「准看護師」
「理学療法士」
「作業療法士」
「言語聴覚士」
「柔道整復師」
「按摩マッサージ指圧師」

いずれかを取得していなければなりません。
機能訓練指導員として働くための試験はありません。

ですので、私の「理学療法士」を見てみても、
急性期でのリスク管理と、ターミナル・維持期でのリスク管理を比べても診ているポイントが違います。

一応のリハビリ中止基準はそれぞれにありますが、それに従うと何も出来ないことなんて多々ありますし、基準内であっても中止したほうが良いと判断出来る場面もあります。

センスのある人や、勘の良い人なら臨床の感覚で判断できますが、経験年数があったとしても見誤ることもあると思います。
(現に臨床経験年数では大先輩になる人でも、中止基準に達していないと言ってリハビリを継続し、顔色や呼吸数の変化に気付かず続けているような人もウヨウヨいました・・・あとで看護部から怒られていましたが・・・)


同じ職種でもリスク感覚がずれているのに、こんなに資格者が多いと どうしても共通の意識・見解は出ないとは思います。
特に、柔道整復師の方とお話させていただいた際に、『学校では、リスク管理について詳しく習っていない』と話されていました。(マジかこいつ!? って口には出さず心で思いました)

きちんと勉強されている方もいらっしゃると思いますが、現状はこのような状態で巷には「機能訓練特化型デイサービス」が横行しています。

前置きが長くなりましたが、デイサービスでのバイタルチェックとして毎回測るのが

「体温」
「脈拍」
「血圧」

ぐらいかと思います。

これらサインを基にリスク管理をする場合は、最低でも[アンダーソン・土肥の基準]を知っていたほうが良いと思います。

Ⅰ.運動を行わないほうがよい場合

1)安静時脈拍数 120/分以上
2)拡張期血圧 120以上
3)収縮期血圧 200以上
4)労作性狭心症を現在有するもの
5)新鮮心筋梗塞1ヶ月以内のもの
6)うっ血性心不全の所見の明らかなもの
7)心房細動以外の著しい不整脈
8)運動前すでに動悸、息切れのあるもの


Ⅱ.途中で運動を中止する場合

1)運動中、中等度の呼吸困難、めまい、嘔気、狭心痛などが出現した場合
2)運動中、脈拍が140/分を越えた場合
3)運動中、1分間10個以上の期外収縮が出現するか、または頻脈性不整脈(心房細動、上室性または心室性頻脈など)あるいは徐脈が出現した場合
4)運動中、収縮期血圧40mmHg以上または拡張期血圧20mmHg以上上昇した場合


Ⅲ.次の場合は運動を一時中止し、回復を待って再開する

1)脈拍数が運動時の30%を超えた場合.ただし,2分間の安静で10%以下に戻らぬ場合は、以後の運動は中止するかまたは極めて軽労作のものにきりかえる
2)脈拍数が120/分を越えた場合
3)1分間に10回以下の期外収縮が出現した場合
4)軽い動悸、息切れを訴えた場合



元々は、[アンダーソンの基準]を使っていたようですが、私が通った学校では[土肥変法]の方が臨床で使うことが多いと習いました。
実際の臨床でも[アンダーソンの基準土肥変法]が使われることが多かったです。

ただし、上にも記したとおり、これだけでリスク管理が万全と言うわけではありません。
それぞれの個人差がありますし、他にもリスクはたくさんありますが、デイサービスの機能訓練指導員として働かれている方で、「そんな基準は聞いたことない」ってなると事業所事態が疑われるレベルと思ってください。


この投稿を書きながら、改めて「恐ろしい業界にいるな」と感じます。

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